フルリモート勤務の就業規則で確認すべきことは?

フルリモート勤務の就業規則で確認すべきことは?

フルリモート勤務を始める前は、就業規則だけでなく、労働条件通知書や雇用契約書、在宅勤務規程も確認してください。特に重要なのは、勤務場所、出社を求められる条件、労働時間、費用負担、機器や情報の管理です。

就業規則に「テレワーク可」と書かれているだけでは、どこで働けるのか、出社命令があるのか、通信費を誰が負担するのかまでは分からないことがあります。規程同士の内容が違う場合は、会社に適用される規程と自分の契約内容を確認しましょう。

フルリモートの就業規則で最初に確認する5項目

確認項目 確認する内容
勤務場所 自宅以外の場所で働けるか、居住地域の制限があるか
出社・出張 出社を命じられる場合、頻度、交通費や宿泊費の扱い
労働時間 始業・終業の連絡方法、休憩、残業、休日勤務の手続き
費用負担 通信費、電気代、備品代、交通費などを誰が負担するか
機器・情報管理 パソコンの貸与、私物端末の利用、データ保存、事故時の報告方法

勤務場所は「完全在宅」と書かれているか

自宅での勤務が認められていても、それだけで「会社から一度も出社を求められない」とは限りません。就業規則や在宅勤務規程で、勤務場所を「自宅」と定めているのか、「会社が指定する場所」としているのかを確認してください。

次のような表現がある場合は、フルリモートの意味を会社に確認しましょう。

  • 業務上必要な場合は出社を命じることがある
  • 会社が指定する場所を勤務場所とする
  • 在宅勤務の実施日や場所は会社が決定する
  • 出社日、研修日、会議日は別途指定する

また、カフェやコワーキングスペース、実家など、自宅以外で働けるかも確認が必要です。会社の情報管理上、場所を限定していることがあります。

雇用契約書や労働条件通知書の勤務地も確認する

就業規則とは別に、労働条件通知書や雇用契約書に記載された「就業場所」を確認してください。採用時は「自宅」と説明されていたのに、書面では会社所在地や「会社の定める場所」となっている場合、実際の勤務場所や出社義務について会社へ質問する必要があります。

採用時の説明、雇用契約書、就業規則、在宅勤務規程の内容が一致していない場合は、自己判断で済ませず、どの規程が自分に適用されるのかを確認しましょう。

労働時間と連絡方法を確認する

フルリモートでも、労働時間の管理や残業のルールがなくなるわけではありません。次の点を具体的に確認してください。

  • 始業・終業時にどのシステムやチャットで報告するか
  • 休憩時間をいつ、どのように取るか
  • 中抜けや私用外出が認められるか
  • 残業には事前申請が必要か
  • 休日や深夜に連絡・勤務した場合の扱い
  • 勤怠の打刻漏れや通信障害が起きた場合の修正方法

「フレックスタイム制」「裁量労働制」「事業場外みなし労働時間制」などが適用される場合は、制度ごとに労働時間の扱いが異なります。制度名だけで判断せず、対象者、勤務時間、残業申請の要否を確認してください。

通信費・電気代・備品の負担者を確認する

在宅勤務では、インターネット回線、電気、机や椅子、モニターなどの費用が発生します。就業規則や在宅勤務規程に、会社が負担する費用と本人が負担する費用が書かれているか確認しましょう。

特に確認したいのは、次の項目です。

  • パソコン、モニター、ヘッドセットなどの貸与範囲
  • インターネット回線や通信費の補助
  • 電気代や在宅勤務手当の有無と支給条件
  • 自分で購入した備品の精算方法
  • 出社時の交通費と在宅勤務時の通勤手当の扱い
  • 退職・異動時に返却する機器や備品

「必要な費用は会社が負担する」とだけ書かれている場合は、対象となる費用、上限額、申請期限を確認すると安心です。手当がある場合も、実費精算とは別の扱いになることがあります。

パソコンと会社情報の管理ルールを確認する

フルリモートでは、端末の紛失や誤送信などが情報漏えいにつながるため、機器とデータの管理方法が重要です。私物パソコンや個人のクラウドサービスを使ってよいかも、規程で確認してください。

  • 会社貸与の端末以外を使用できるか
  • 家族が会社の端末を使ってよいか
  • 公共の場所で画面を開いてよいか
  • データを個人のUSBメモリやクラウドに保存できるか
  • 端末の紛失、盗難、誤送信時の報告先と期限
  • 退職時にデータを削除・返却する方法

セキュリティ違反が懲戒処分の対象になることもあるため、禁止事項だけでなく、事故が起きたときの初動も確認しておきましょう。

評価、休暇、体調不良時の扱いを確認する

在宅勤務でも、評価方法、休暇の申請、欠勤や遅刻の連絡方法は通常の勤務と同じとは限りません。成果で評価するのか、勤務時間や業務報告も評価対象になるのかを確認してください。

また、在宅勤務中に体調が悪くなった場合、通常の休暇申請をするのか、勤務を中断して上司へ連絡するのかも確認が必要です。仕事と私生活の時間を分けるため、業務時間外の連絡ルールが定められているかも見ておきましょう。

出社を求められる条件と費用を確認する

「フルリモート」と説明されていても、入社時研修、重要会議、顧客対応、トラブル対応などで出社が必要になる場合があります。出社の可能性があるなら、理由、頻度、通知方法、交通費・宿泊費の負担を確認してください。

出社場所が遠方の場合は、勤務場所の変更や出社命令が自分の契約条件と合っているかが重要です。頻度や費用が書かれていない場合は、「原則出社なし」という説明がどの文書や合意に基づくものかを確認しましょう。

確認するときは文書名と条文をそろえる

入社前・異動前に、次の順番で確認すると、見落としを減らせます。

  1. 雇用契約書または労働条件通知書で、就業場所と勤務時間を確認する。
  2. 就業規則に加えて、在宅勤務規程、テレワーク規程、情報セキュリティ規程を確認する。
  3. 勤務場所、出社条件、労働時間、費用、機器管理について不明点を箇条書きにする。
  4. 人事担当者や上司に質問し、回答をメールなど記録に残る形で確認する。
  5. 説明と書面が違う場合は、どの内容が適用されるかを確認してから勤務を始める。

就業規則は、常時10人以上の労働者を使用する事業場では作成・届出が必要とされる規程です。ただし、会社に就業規則があることだけで、個人のフルリモート勤務が当然に保障されるわけではありません。自分の契約書や適用される社内規程と合わせて判断してください。

フルリモート勤務の就業規則で最優先に確認するのは、勤務場所と出社条件です。そのうえで、労働時間、費用負担、機器・情報管理、休暇や評価のルールまで確認し、曖昧な点は勤務開始前に書面で質問しましょう。