リモートワークは労災の対象になる?

リモートワークは労災の対象になる?

リモートワーク中の事故も、仕事が原因で起きたと認められれば労災の対象になります。自宅で働いていたことだけを理由に、労災の対象外になるわけではありません。

ただし、業務中の事故でも、私的な行動が原因の場合は対象外となる可能性があります。判断では、事故が起きた時間、場所、行動の内容、仕事との関係などが確認されます。

リモートワークで労災の対象になりやすい事故

業務を行っている最中に、仕事が原因でけがをした場合は、労災と認められる可能性があります。

  • 会社から支給された機器の設置や使用中にけがをした
  • 業務に必要な資料を取りに行く途中で転倒した
  • 仕事中に椅子や机などの設備が原因でけがをした
  • 会社の指示で、取引先への連絡や業務上の移動をしている途中に事故にあった
  • 長時間労働や業務上の強い負担によって、病気を発症した

重要なのは、会社の建物内で起きたかどうかではなく、業務との間に相当な関係があるかです。自宅が仕事場所として指定・承認されている場合でも、事故の状況によって個別に判断されます。

リモートワーク中でも労災になりにくいケース

仕事中の時間帯であっても、私的な行動中に起きた事故は、業務との関係がないとして労災の対象外になることがあります。

  • 私用で外出している途中の事故
  • 家事や育児など、業務とは関係のない行動中の事故
  • 休憩中に私用の作業をしていて起きた事故
  • 業務と関係のない飲食や運動をしているときの事故

たとえば、勤務時間中に自宅で仕事をしていたとしても、昼食を作っている最中のやけどは、通常の業務が原因とはいえない可能性があります。一方、業務に必要な作業をしているときの事故であれば、事故の具体的な状況によって判断が変わります。

通勤中の事故はリモートワークでも対象になる?

自宅で勤務する日の通勤がないからといって、すべての移動が通勤災害の対象外になるわけではありません。会社の指示で別の勤務場所へ移動するなど、就業に関係する合理的な経路・方法による移動であれば、通勤災害として判断される可能性があります。

ただし、私用の寄り道や、業務と関係のない外出中の事故は、通勤との関係が途切れたと判断されることがあります。移動の目的、経路、会社の指示、私用による中断の有無などが確認されます。

労災かどうかを判断するときの確認ポイント

リモートワーク中の事故では、次の点を整理すると、業務との関係を説明しやすくなります。

  • 事故が起きた日時と場所
  • 事故の直前に行っていた作業
  • その作業が業務として指示・承認されていたか
  • 会社のパソコンや備品を使っていたか
  • 事故を目撃した人や、直前のオンライン会議の記録があるか
  • チャット、メール、勤怠記録、作業履歴などが残っているか
  • けがの内容と、医療機関を受診した日時

事故現場の写真、破損した備品の写真、業務指示のメッセージなども、事故状況を説明する資料になります。記録を後から作り替えたり、事実と異なる内容を記載したりしてはいけません。

リモートワーク中にけがをした場合の手続き

けがをしたら、まず安全を確保して医療機関を受診し、会社へ事故の事実を伝えます。労災に当たるかどうかを会社だけで確定できるわけではなく、最終的な判断は労働基準監督署が行います。

  1. 事故の日時、場所、作業内容、けがの状態を記録する
  2. できるだけ早く上司や人事担当者へ報告する
  3. 受診時に、仕事中の事故であることを医療機関へ伝える
  4. 会社と必要な労災保険の請求書類を確認する
  5. 会社の対応にかかわらず、必要に応じて所轄の労働基準監督署へ相談する

労災に該当する可能性があるのに、健康保険を使って受診してしまった場合でも、直ちに労災請求ができなくなるわけではありません。受診した医療機関や労働基準監督署に、仕事中の事故であることを伝えて手続きを確認してください。

会社に報告するときの注意点

会社へは、「自宅でけがをした」とだけ伝えるのではなく、事故の前後に何をしていたのかを具体的に説明します。たとえば、「午前10時から会社の指示を受けた資料作成をしており、パソコンの電源ケーブルを確認するために机の下へ手を伸ばした際に転倒した」のように、業務とのつながりが分かる形で伝えます。

会社が労災に該当しないと判断しても、その判断だけで請求できなくなるわけではありません。事故の状況を記録したうえで、労働基準監督署に相談し、必要な手続きを確認しましょう。

リモートワークの労災についての結論

リモートワーク中の事故は、業務が原因で起きたと認められれば労災の対象になり得ます。一方、家事や私用など、仕事と関係のない行動中の事故は対象外となる可能性があります。

労災かどうかは、勤務場所が自宅かどうかだけでなく、事故の直前に何をしていたか、会社の指示や業務との関係があったかによって判断されます。事故が起きたら、日時・作業内容・状況を記録し、会社と労働基準監督署へ早めに相談してください。