在宅勤務の試用期間で注意することは?

在宅勤務の試用期間で注意することは?

在宅勤務の試用期間で注意することは、試用期間中も雇用契約が成立しており、勤務条件・評価基準・終了条件を事前に確認することです。試用期間だからといって、会社が自由に給与を下げたり、理由なく契約を打ち切ったりできるわけではありません。

特に在宅勤務では、出社勤務よりも仕事の進め方や評価方法が見えにくくなります。入社前に契約内容を確認し、勤務中は指示や成果物を記録しておくと、認識違いを防ぎやすくなります。

試用期間でも雇用契約は成立している

試用期間は、採用後の勤務態度や能力などを確認するための期間です。一般的には、試用期間中も通常の従業員と同じように雇用契約が成立しており、働いた時間に応じた賃金が必要です。

試用期間を理由に、給与を支払わない、最低賃金を下回る金額にする、契約内容を一方的に変えるといった扱いが当然に認められるわけではありません。賃金、契約期間、就業場所、業務内容などは、雇用契約書や労働条件通知書で確認しましょう。

労働条件の明示については、労働基準法に定めがあります。

在宅勤務の試用期間で最初に確認する5項目

入社前または勤務開始時に、次の項目を文書で確認してください。口頭で説明された内容と書面が異なる場合は、会社にどちらが正式な条件なのかを確認することが大切です。

  • 試用期間の長さ:何か月間か、延長される条件は何か
  • 雇用契約の種類:無期契約か有期契約か、契約更新の条件は何か
  • 勤務場所:自宅限定か、会社への出社や出張があるか
  • 業務内容と評価基準:担当業務、納期、目標、試用期間終了時の判断方法
  • 給与・勤務時間・費用負担:賃金、始業終業時刻、残業、通信費や機器代の扱い

「完全在宅」と説明されていても、研修や面談だけ出社が必要な場合があります。出社の頻度、交通費の支給、出社命令がある場合の条件まで確認しておくと安心です。

試用期間の延長や終了条件を確認する

試用期間の延長が認められるかどうかは、就業規則や雇用契約の定め、延長の理由などによって判断されます。会社が「評価が終わらなかった」という理由だけで、無期限に試用期間を延ばせるとは限りません。

延長される可能性がある場合は、次の点を確認しましょう。

  • 延長できる具体的な理由
  • 延長される期間
  • 延長後の評価項目
  • 評価結果を伝える時期
  • 本採用されない場合の扱い

試用期間の終了後に本採用しない場合も、会社の判断が常に自由になるわけではありません。客観的に合理的な理由がなく、社会通念上相当と認められない解雇は、無効となる可能性があります。解雇の考え方については、労働契約法第16条で定められています。

なお、試用期間中の解雇や本採用拒否が認められるかは、契約内容、勤務状況、会社から示された評価基準、改善の機会があったかなどによって変わります。「試用期間だから理由はいらない」と一律に考えないようにしましょう。

在宅勤務では評価方法を具体的にする

在宅勤務の試用期間では、上司が勤務中の様子を直接見られないため、成果物、納期、報告、連絡の正確さなどが評価材料になりやすくなります。ただし、評価基準があいまいなままだと、本人と会社の認識がずれるおそれがあります。

次のような点を、できればメールやチャットで確認してください。

  • 試用期間中に担当する業務
  • 1週間または1か月ごとの目標
  • 成果物の品質や納期の基準
  • 質問や報告を行う方法と時間帯
  • 本採用の判断者と判断時期
  • 改善を求められた場合の期限と確認方法

指示を受けたら、「期限は○月○日、成果物は○○という理解で合っていますか」と文章で確認すると、後から内容を振り返れます。業務が完了したときも、提出物や作業結果を記録しておきましょう。

勤務時間と連絡ルールを確認する

在宅勤務でも、会社が勤務時間を定めている場合は、その時間中に業務を行い、休憩を取る必要があります。始業・終業の報告方法、休憩の扱い、時間外労働の申請方法を確認してください。

特に注意したいのは、次のような状態です。

  • 勤務終了後も常にチャットへの返信を求められる
  • 業務量が所定労働時間内に収まらない
  • 残業の申請方法が説明されていない
  • 私用のスマートフォンで常時連絡するよう求められる
  • オンライン会議の準備や後片付けの時間が勤務時間に含まれるか不明である

残業が必要になった場合は、先に上司へ相談し、指示や申請の記録を残しましょう。自主的に長時間働き続けると、会社が業務量を把握できず、評価や健康に影響することがあります。

機器・通信費・仕事をする場所のルールを確認する

パソコン、モニター、机、インターネット回線、電気代などを誰が負担するかは、会社ごとに異なります。会社から機器を貸与されるのか、自分のパソコンを使うのかも、勤務開始前に確認してください。

確認する項目は次のとおりです。

  • パソコンや周辺機器の貸与範囲
  • 通信費や電気代の補助の有無
  • 故障・紛失時の連絡先と費用負担
  • 自宅以外で勤務できるか
  • 家族や第三者が画面や書類を見ることを防ぐ方法
  • 退職・契約終了時の機器やデータの返却方法

自宅以外のカフェや共有スペースで働く場合、会社の許可が必要なことがあります。顧客情報や社内資料を扱う仕事では、勤務場所や画面のぞき見について、より厳しいルールが設けられている場合があります。

個人情報とセキュリティの扱いに注意する

在宅勤務では、会社のデータを自宅の端末やネットワークで扱うことがあります。指定されたクラウドサービスやVPNなどを使い、会社の許可なく私用メール、個人のクラウドストレージ、USBメモリへデータを移さないようにしましょう。

次のような行為は、情報漏えいにつながる可能性があります。

  • 家族と共用するパソコンで業務を行う
  • 業務資料を自宅のプリンターで印刷したまま放置する
  • パスワードをメモした紙を画面の近くに置く
  • 会社の許可なく業務アプリをスマートフォンへ入れる
  • オンライン会議の内容を無断で録音・録画する

セキュリティ上の事故や誤送信が起きた場合は、隠さずに決められた連絡先へすぐ報告してください。早く報告することが、被害の拡大を防ぐ対応につながります。

「試用」と「無給の体験勤務」を混同しない

正式に雇用される試用期間と、採用前に行う無給の作業体験は別のものです。採用前であっても、会社の指揮命令を受けて実際の業務を行い、その成果を会社が利用している場合は、単純な見学や選考課題とは異なる可能性があります。

次のような説明を受けた場合は、作業内容と報酬の扱いを具体的に確認してください。

  • 数日間、実際の顧客対応や納品作業を行う
  • 採用されるか分からないまま、まとまった業務を担当する
  • 「試用だから給与は出ない」と説明される
  • 自分のパソコンや通信費を使って長時間作業する

採用前の課題として、短時間で能力を確認するための作業を求められる場合もあります。実際の労働に当たるかは作業内容や会社の指揮命令の有無などによって変わるため、無給での実務を当然だと受け入れず、条件を確認しましょう。

トラブルを防ぐために記録しておくこと

在宅勤務では、対面でのやり取りが少ないため、記録が重要です。すべての会話を記録する必要はありませんが、勤務条件や評価に関係する内容は、メールやチャットで確認しておくと役立ちます。

  • 雇用契約書、労働条件通知書、就業規則
  • 試用期間の開始日と終了予定日
  • 業務指示、納期、提出物
  • 勤務時間、休憩、残業の申請
  • 評価や改善指示の内容
  • 機器の貸与、費用負担、返却方法

会社から改善を求められた場合は、感情的に反論する前に、何をいつまでに改善すればよいのかを確認しましょう。評価基準が不明なときは、「本採用の判断に関わる具体的な項目を教えてください」と尋ねると、確認すべき点が明確になります。

不当な扱いが疑われるときの対応

給与の未払い、契約と異なる勤務条件、長時間労働、理由の説明がない本採用拒否などがある場合は、まず契約書や会社とのやり取りを整理してください。そのうえで、会社の人事・労務担当者へ事実関係を文書で確認します。

解決しない場合は、地域の総合労働相談コーナー、労働基準監督署、労働組合、弁護士などへの相談を検討できます。ただし、どの窓口が適切かは、賃金の問題か、解雇・契約終了の問題か、ハラスメントかによって異なります。

試用期間中の本採用拒否や解雇については、通知を受けた日、理由、会社から渡された書面、勤務記録を保管しておきましょう。後から確認できる資料があると、相談先で状況を説明しやすくなります。

在宅勤務の試用期間では、試用期間の長さと終了条件、評価基準、勤務時間、費用負担、機器・情報管理の5点を文書で確認することが重要です。「試用だから仕方がない」と思い込まず、分からない条件は勤務開始前に具体的に質問し、勤務中の指示や成果を記録しておきましょう。